今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

「だめだよ!警察に捕まったら、もう会えなくなっちゃうよ……!」

「それはやだな。俺はずーっと天音と一緒ー」


無気力に私をまた抱きしめる久遠くん。


「あ久遠、神木と月城はどうなったの?」

「一応手は打ったけど、まだ防げてねぇ感じだな」

「厄介だね」

「あ、あのっ……久遠くん……蘭くんと伯斗先輩、いつになったら学校きてくれるの……?」


話したいことがたくさんあるのに……。


「もう一生来ないよ」

「えっ……!?」


ち、ちがう、騙されちゃだめだよ私……!


「ちがうよ……!だって、また一緒に勉強しようねって蘭くんは頭を優しく撫でてくれたし、伯斗先輩もまた生徒会にきてねってよしよししてくれたもんっ……!」


いつも、そうだもん……急にそんなになるわけない……。


「なにそれ」

「へ……?」

「なに勝手に男に触れられてるわけ?」

「え、えっと……」


一方的にやられたっていうか……でも、ふたりはきっと私を気遣って……。


ガチャン!!


その時、私に救いの手が差し伸べるかのようにドアが開いた。


「うわマジじゃん兄貴女連れてるー」

「ってかこれ噂の天使じゃね?」

「マジじゃんヤバーはははー」


なんだかよくわからないことを言ってくすくすと笑っている3人。


……?久遠くんのこと、兄貴って言った……?