今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

「……っていうか……僕の秘書として働かない?結婚したら」

「秘書……?」

「うん、一日中、ずっと僕の隣でお仕事を手伝いながら僕に可愛がられるの」


なんだか余計なことが混じってる気がするけど……。


「久遠くんといれるなら、いいかも……!」


ちょっと興味あるっ……!


「なにそれ可愛い。」

「へ?」

「その声も可愛い。もうなにしても可愛い息してるだけで正義」

「それは大袈裟すぎじゃ……」


心なしが久遠くんの目がハートマークに変貌しているように見える現象に陥ってる……。


「いや、生まれた時点で国宝以上。空気より金よりなにより大事でしょ。天音の吐いた二酸化炭素取っておきたいくらいだもん」

「へ、変なこと言わないで……!」


そんなこと言う人、初めて見たよ……!

 
「変なことじゃないよ。颯も陽奈にそう思ってるし」

「颯くんは愛が重いからだよ!」

「そんなの僕も同じでしょ」

「で、でもっ……」


うううっ……なに言っても反論される……。


「っ!ぷっ!ははははっ!」

「チッなんだよ運転手」

「失礼いたしました。つい久遠様が面白くて」


よほど面白いのかクスクス笑っている運転手さん。