「ふふっ、天音ちゃんのために用意したんだぁ〜」


ハートマークをつけるようにそう言った久遠くんの目はハートになっているように見えた。


「うさ耳とネコ耳、どっちつける?ふふっ、あとそこに入ってる可愛い服は、陽奈が選んでくれて、総合1000万になってるよ!!」

「え”っ……」


思わず変な声が出た。


せ、1000万円!?


「く、久遠くんはいったいどんな金銭感覚してるの!!お、おかしいよ!これしゃ、お返しできないっ……」

「……お返ししてくれようとしてたの?」

「そ、それはお返しするよ!」


礼儀として当たり前だっ……!!


「誕生日に、だけどっ……」

「……ちゅー」

「へっ?」

「天音のちゅーは人類の命以上の価値があるからしてくれたらそれでいい」


……。


久遠くんは、金銭感覚もおかしいけど……。


私に対する考えも、少し、いやだいぶおかしいかもしれないです……。


「……ようちゃん、もう帰ろっか」

「そうね……じゃあバイバイ〜」

「ええっ……あっ……バイバイっ……」


寂しいけどっ……バイバイっ……。




「……それでさ、天音くま欲しがってたじゃん」

「あっ……そういえば……あれは冗談で——」


ガチャン


私の言葉を遮るように部屋のドアが開き、入ってきたのは……。


私の身長を上回るサイズのくまちゃんのぬいぐるみが入ってきた。

それも、座ってる……。