「……はい、これ読もう」

「……これは……？」


可愛らしいうさぎと、優しそうなくまの絵の絵本だった。

なんでこんな子供向けの絵本がここにあるのかな……？


疑問に包まれる中、久遠くんがゆっくりと本のページをめくろうとする。


けど……。

全然、めくれてない……。


そして本棚の近くに座っていたため、久遠くんが少し後ろに下がるとゴンッと頭をぶつけて、本がバサバサと落ちてくる。


「く、久遠くん……！？なにしてるのっ……！？」

「……」


そして、落ちてきた本をとりあえず重ねて置こうとしているのか本を重ねるけれど、明らかにアンバランスですぐバサバサと本たちが倒れる。


も、もしかして……久遠くんって……。


「絶望的に、不器用……？」

「……っ……そんなこと、ない」


恥ずかしいのかそっぽを向いてそう言った久遠くん。


なんだか愛らしさを感じてしまう。

それに……。


「やっぱり久遠くんも人間なんだね」

みんななにもかも完璧なわけじゃないんだなぁ。


「どういう意味だよ」

「えへへっ、ないしょ〜」

「天音」

「ん？」

どうしたのかな……？