「それで、どうしたの天音チャン」

「だから……か、かわらないで……」

「……」


今度はポカンとした久遠。


アイツがあそこまで表情をころころと変えているところを見たことがない……。


「ごめんね聞こえなかった」

「っ……」

「もう一回言ってくれるかな?」


シーンと静まり返る教室。


「うわぁー!久遠くんはこわーい!」


あからさまにキモくそういうのはユズリハだった。


「ってかさ?やっぱり日向サンじゃなくてアタシに——」

「天音、もっかい言って。ごめんね聞こえなくて」


ユズリハの言葉なんて聞こえてないも等い表情に久遠はそう口を開いた。


それは、あり得ないほど優しい口調で。


「……やめろ。」

「天音——」

「やめろ!!!お前、本当に天音のことが好きなのか!?」


俺がそう言った瞬間、天音の方がピクッと震えた。


……やっぱりおかしいよな。


「俺なら、天音を幸せにできる……泣かせたり絶対にしない……だから、俺はお前に宣戦布告する!!」


俺は、……俺でなきゃ、天音は幸せにできない。


久遠が幼なじみだろうとなんだろうと、泣かせたのだから、俺の方がきっと大事にできる。


俺はそう思い、この異常野郎に宣戦布告をした。