天音の愛らしい頬が朱色に染まっていく。


「……ひゃっ!?」

すると急に現れた久遠が天音を後ろから抱きしめた。


「……や、やめ……」

「俺の可愛い天音に手出さないで」

「……お前のじゃねぇだろ」

「あははっ、俺のだよ」


久遠……いつもと口調ちがうし……。


どす黒いオーラが半端ない。


「……っていうかさ、天音指輪はどうしたの」

「し、知らない、よ……!」

「知らない?あれ1000万したのに」

「っ!?う、嘘っ……」


久遠は普通のヤツからすればありえないくらいの額を軽々と口に出す。


「そんな高価な指輪を天音ちゃんはなくしたんだね。」


久遠は天音の両頬を片手で正面から挟んでむにむにと揉んでいる。


「きゃーっ……!なにあの身長差っ……めっちゃ萌えるんでけどー!」

「ってか、天音ちゃん可愛すぎなんですけど」

「わかるー!アタシ天音ちゃん推し!」


クラスの女子がそんな話で盛り上がってる。


新しく入ってきた一年たちはどうだか知らないけれど、天音は2年、3年の厚い人脈があるのだ。


そのおかげで、天音をいじめるような女もいないどころかむしろみんな妹のように可愛がっている。


中には貢ぐものもいるぐらいだとか。


そして、天音が久遠のことを好きだとわかった瞬間、一年以外の女はいっさい久遠にちょっかいはかけなくなり、むしろみな影ながら応援しているくらいらしい。