その言葉を放った瞬間、天音の肩がピクッと震えた。


「そ、そんな理由って……」

「久遠に告白したけど、もうフラれたからいんだろ?」

「うっ……で、でもっ……」


まだ未練があるのか?

そりゃぁ、話を聞く限り両想い好きで吐き気がするけど……。


……。


「久遠になんかされて無理なら……俺が破棄してやろうか?」

「へっ?」


一応俺の家も金持ちだから……。


「上杉は越せないけど同じくらいの権力はあるんだぜ?」

「そ、そういえば神木グループって……」

「俺の家のことだ!」


俺の家だって一応有名だ。

まぁ天音は金に興味なさそうだし知らないと思うけど。


「そ、そうなんだね!すごいっ……」

「……そんで、どうする?」

「うーん……実は……」


天音は再び困った顔を浮かべる。


「……伯斗先輩にも、婚約破棄を手伝う、とか言われてて……それに、告白、されちゃったんだよね……」

「……は!?」


婚約破棄はまずまずとして、告白だ……!?


っ……アイツ、この機会を狙って……。


それなら、俺も、……。


教室にいっぱい人いるけど……それでも、天音のことをとられたくない……。


「……天音」

「ど、どうしたの……?」

「俺も……」

「……?」

「俺も、天音が好きだ」


思わず口にした。


「……お友達——」

「女として。女として好きだ」

「っ……」


さすがに天音も意味を理解してくれたらしい。


「わ、私みたいなわがままな……」

「そっちの方が可愛くていい」


たとえ本性がなんでも、とにかく好きだ。


「わ、私には……」

「久遠か?……あんなヤツより、俺を見てほしい」

「っ……」