先輩、どこかな?


式が終わって皆が少しずつ帰っていく頃。3年生はこのあと最後のお別れ会をするみたいだけど、


その前に先輩に会いたい。



「雅~、寂しくなるねぇー」

「やだぁ、離れたくないー」


「おい、くっつくな」


私たちが付き合うようになってから、心なしか先輩は前より明るくなった。


その分、とっつきにくかった性格も和らぎ、先輩のまわりには常に女子がいるような状態になった。


先輩の性格が明るくなったのは嬉しいけど、これは別だ。


私の先輩なのに、


いつもなら女の先輩たちが怖くて逃げているけど、、、



『ねぇー、名前で呼んでくれないの?』


この前の下校途中に、そんなことを言って甘えてきた先輩。


でも、ごめんなさい


これが私の精一杯です。




「雅先輩!!」


すぅっと、息を吸って大きな声で呼ぶ。


こっちを向いた先輩と目があう。