ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「いえ、そういう名ばかりの結婚ではなくて。
 ちゃんとした結婚をしたいと思ったりされないのかなって」

 あのときはまだ、仕事もしはじめで、結婚なんて考える暇なかったから、私に偽装結婚を持ちかけてきたのかもしれないけど。

 今は落ち着き払った立派な経営者になっているように見える。

 そろそろ、ほんとうの結婚をしてもいいと思いはじめているのではないかと思い、訊いてみたのだ。

「……ほんとうの結婚か」

 海中を見ながら、桔平は言う。

「確かに、したいと思っているよ」

「そうですか、では」
と真珠は立ち上がった。

「何処へ行く?」
と見上げる桔平に、

「そういう方がいらっしゃるのなら、私はここにいてはいけないかなと思いまして」
と真珠は言う。

「……ここ、海の上だぞ、どうやって帰るんだ」