ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 



 桔平が友人に借りたというのは、ザ・ワールドにある海中ヴィラ、海に浮かぶ家だった。

 海上に二階、海中に一階あり。

 海中には、ベッドルームやバスルームもある。

 家浮いてるな~、……ほんとうに。

 流されないよう、何軒かの住宅がユニットになって浮かんでいるが。

 それぞれの家で視線が合わないよう、工夫されて配置されているようだった。

「下に下りてみるか」
と桔平が言う。

 ペルシャ湾の海中にあるベッドルームはガラス張りで。

 たくさんのカラフルな魚が行き交うのを眺めながら眠れるようだった。

 ……でも、いきなり人が覗いてきそうで怖いな。

 真珠の頭の中では、水族館で巨大水槽の中にスタッフの人が現れるのと同じ感じに誰かが泳いできていた。

 手には謎のプラカードを持っている。

 ドッキリです、とか、夢です、とか書いてありそうだな。

 なにもかもが現実とは思えないもんな、と思ったとき、桔平が言った。