ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「急用ってなんだい?
 怪我でもしたのかい?」

「早く行ってやりなよ」

 そうおばちゃんたちは心配して口々に言ってくる。

「でも、行ってみないとどんな感じかわからないので。
 もし、長期滞在にでもなったら……」

 いきなりパート辞めるわけにもいきませんし、と真珠は言ったが、()()のいいおばちゃんたちは、

「なに言ってんだい。
 なんか大変なんだろ? 早く行っておやり」
と言ってくれる。

「大丈夫だよ。
 代わりの人ならすぐ見つかるから」

「こういう時はとるものもとりあえず行くもんだよ。
 旦那、建築現場で骨折でもしたのかい?」

「そうなんですかね?」

 建築現場……。

 何故、おばちゃんたちは今、彼の新しいホテルがドバイに建築中なことを知っているのだろう、と思いながら、真珠は、ありがとうございます、と頭を下げた。

 単におばちゃんたちは、出稼ぎから建築現場を連想しただけだったのだが。