ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 あ、足がすくむんだが……。

 このホテルのヘリポートは、地上200メートル以上のところに空中に飛び出すように存在していた。

「なんかこれ、あれですね」

 真珠は足がガクガクしながら、桔平に手を引かれ、丸い緑のヘリポートに向かう階段を上がる。

「例えば、この高層ホテルがウェイターなら」

「……例えの最初から、意味がわからないが」

 そう桔平に言われながらも、遥か下にある地上から気を逸らすため、真珠は続けて言った。

「このヘリポートはウェイターさんが手に抱えている皿というか」

 いや、ほんとそんな感じで空中に突き出しているのだ。

 ヘリポートに殺されるっ、と真珠は思った。

 ……いや、ヘリポートは殺さないか。

 今、ちょっと背中を突かれただけで、誰かに殺されるっ。

 この場合、殺せるのは、自分の手を握っている桔平、ということになるのだろうが。