ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「大丈夫ですよ。
 チラと観光したら帰ってきますよ。

 OL時代も、ちょっと甘いもの食べに京都とか行ったりしてましたしね」

「……それ、国を(また)いではいないよな」

 そう言われた真珠は言い訳のように、
「跨いでましたよ。
 えーと……丹波国(たんばのくに)とか、山城国(やましろのくに)とか……?」
と言い出す。

「お前の頭の中の日本地図は江戸辺りで止まってんのか」

 そう言い終わらないうちに、真珠が言った。

「でも確かに、いきなりお呼びがかかっちゃいけないですよね。
 こんな時間から相手の方とお約束することはないでしょうから。

 今夜のうちに飛び立って、夜のカイロを見て昼に帰ってきましょうか?」

 横で侑李が笑いをこらえている。
 それを横目に睨んでいると、真珠が手を打ち、言ってきた。