ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 



 ともにその家族を見送りながら、桔平は笑顔のまま真珠に訊いた。

「お前、英語は結構堪能なんだな。
 ……アラビア語はわからないのか?」

 ちょっと気になることがあったのだ。

「あー、絵本程度ならわかりますよ。

 子どもの頃、こんな感じの」
と今持っている大きな絵本を見せ、

「表紙が綺麗なアラビア語のアラビアンナイトの本を買ってもらったことがあるんで。
 その程度ならわかります」
と言う。

「ほう、なにがしゃべれるんだ」

「『今宵、お前に夜伽を命じよう』

 ……とかですかね?」

「……なんの役にも立ちそうにないな」

 後ろで侑李が笑う。