ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 話は終わったが、男は少し侑李と競馬の話をしていた。

 桔平は興味がないので、

「奥様とお子さんの様子を見て来ますよ」
と言って、立ち上がる。

 真珠が手にしていた絵本は装丁はアラビア風で美しいが、やはり英語で書かれているようだった。

 青い光に包まれた店内。
 すぐ側を泳いでいるサメや魚たち。

 読み聞かせる真珠はその幻想的な光景の中でもとりわけ美しく。
 熱心に聞いている子どもたちの様子も微笑ましかったが。

 近くに行って初めて、なにを語っているのかわかった。

「なに生々しいアラビアンナイトを読み聞かせてるんだっ」
と本を奪う。

「大ウケですよ」

 絵本とかだと綺麗でいいですよね、アラビアンナイト、と真珠は言う。

 真珠が読んでいたのは、絵本のように挿絵が多いだけの、子ども向けでない艶っぽいアラビアンナイトだった。

 ……よく奥さんニコニコ見てたな、と思う。

 まあ、真珠が一生懸命子どもたちの相手をしてくれているのが嬉しかったのかもしれないが。