ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「……まあ、ありがとう」
と桔平はその絵を鞄にしまった。

 だが、
「それで、ドバイ・ファウンテンも見て……」
と言いかけた真珠の話を、

「待て」
と桔平は止める。

「なんで、俺とじゃなくて、お前たち二人で、ここぞというスポットで思い出を作ってくる」

 そのとき、後ろから、いかにも実業家な恰幅のいい男が桔平に話しかけてきた。

 桔平は驚き、急いでアラビア語で挨拶をする。

 彼は侑李とは面識があるので、真珠の方だけ紹介した。

 真珠はアラビア語はわからないのだろうが、ニコニコして上手く合わせてくれていた。

 少し話をすることになり、真珠が彼の席にいた奥さんと子どもたちの方に行く。

 向こうはもうデザートも終わっていたらしく、子どもたちは退屈そうだった。

 真珠は土産に買っていたのか、美しい色の絵本を取り出すと、子どもたちに読み聞かせはじめた。

 奥さんはそれを笑顔で見つめている。

 ……あいつ、アラビア語の本読めたのか?

 それとも英語で書いてあるのだろうか。