ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 桔平は、寝るか、そこで、といつの間にか寝ている真珠を見下ろした。

 危険なやつだ。

 やはり、侑李について来させなくてよかったと思った。

 男が側にいるのに、こんな無防備に寝るなんて、と侑李に言ったら、

「あなた、夫なんで、別に無防備になってもいいんじゃないですかね?」
と言ってきそうなことを思う。

 寝返りを打った真珠が、ぎゅっと自分の腕に、ひっついてきた。

 桔平は、そんな真珠を見下ろし思う。

 ……こいつはおそらく。

 俺の体温を求めて来てるな。

 桔平は無駄に勘がよかった。

 そこは、こいつ、俺に気があるんじゃ、と勘違いした方が進展したのかもしれないが。

 残念ながら、桔平はこんなときも冷静だった。

 まあいい。

 人は物理的に温かい人を心も温かいと判断し、警戒心を解くというからな。

 それにしても、ちょっと冷えてきたようだ、と桔平は冴え冴えとした月を映す海を見る。

 吹き付ける海風がひんやりしはじめていた。

 風邪ひきそうだな、と思った桔平は真珠を抱き上げ、ベッドに連れていった。