ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 スピードボートから降りて、またジャングルを通り、ヴィラに帰る道々、桔平が訊いてくる。

「誰と来たんだ? モルディブ?」

「え?」

「さっき言ってた夜光虫の話」

「あ~、会社の人たちとです。
 他の島ですが」
と真珠は振り返ったが、その島は見えなかった。

 モルディヴ諸島には、南北にたくさんの島が連なっているが。

 一島一リゾートの贅沢な空間になっている。

「いや~、うちの会社、リフレッシュ休暇のとき、希望募って、みんなで旅行行ったりするんですよ。

 友だちがモルディブに行きたいっていうから。

 私たちもモルディブ行くチームに入れてもらって、会社のおじさんやおばさんや先輩たちと来たんですよ。

 すっごい楽しかったです」

「……そうなのか」
と言う桔平は意外そうだった。

 どういう集団で来たと思ってたんだろうな?

 女子会かな? と真珠は小首をかしげる。

 桔平はもちろん、男と来たのではないかと心配していたのだが。

 その心配は、真珠にはまったく伝わっていなかった。