ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「ここは夜もそんなに寒くないですよね?」
と言いながら、真珠は支度をはじめる。

 サンドバンクというのは、干潮のときだけ、浅瀬に現れる砂の島のことだ。

 昼間の透明度の高い水色の海と真青の空に囲まれた真っ白な砂地も美しいが。

 夜も雰囲気があっていい。

 時間になり、スピードボートでサンドバンクに移動した。

 もう日はほとんど落ちている。

 微かに残った夕陽が海の向こうに見えて美しい。

 白い砂地の真ん中に用意されたテーブルの周囲には放射状に置かれた、たくさんの小さなライトがあった。

 テーブルの上のランプもあまり明るくないので、満天の星空がよく見える。

 そちらに向かっていた真珠は途中で足を止め、潮風に髪とリゾートドレスの裾を揺らしながら、星々を見上げていた。

 その光景を写真に残したいな、と桔平は思ったが、ラブラブの新婚さんとかではないので、言い出せなかった。