ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「これ、あとでメールで連絡来るんですよね?
 億万長者になったらどうしましょうかっ」

 たった一枚の宝くじを手に、もう当たった気で震える真珠に桔平が、

「お前はもともと億万長者だろ」
と言う。

「え?」

「だって、俺の妻なんだから」

 いや、形だけの妻ですから、関係ないですよね……と真珠は思っていた。

 この人の財産は私には関係ないし。

 普段の生活に、とか身だしなみを整えるのに、とかもらったお金の入った口座も触ってはいない。

 私は古い日本家屋の家賃を払うお金と、日々、谷中で惣菜を買うお金と、たまに友だちと呑みに行くお金だけあればいいんだが……と、

「だけとか言いながら多いな」
と言われそうなことを思う。

 そのとき、桔平がスマホを見て、ふうん、という顔をしているのに気がついた。

「なに見てるんですか?」
と訊いてみる。

 プライベートなことに首突っ込むなと言われるだろうかと思いながらも。

 だが、妻として人前に出る前に、少しは親しげな雰囲気を醸し出せるようになっておきたかったので、もう少し会話した方がいいかなと思ったからだ。