ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「お父さんは、わかってらしたんだな。
 俺こそがお前に最もふさわしい夫だと」

 だからなんでそんなに自信過剰なんですか、と思ったが、桔平は言う。

「俺がお前に、こんな風にメロメロになって。
 一生お前を大事にすると誓うって、最初からわかってたんだよ」

 そう言いながら桔平は真珠のこめかみに口づけてきた。

 そして、文句を言ってくる。

「でも、お前の方は妻としての自覚が足りないな」

「は?」

「俺への愛も足りない。

 お前に逃げられたら、俺はズタボロになって、仕事どころじゃなくなるのに。
 わかってて逃げ出すとか、愛も、俺に愛される覚悟も足りないぞ」

 ……いや、あなたのことだから、いい加減なことはしないはずなので。
 たぶん十一時間のフライト、ずっと仕事しながら来てましたよね。

 そう思いながらも、真珠は、そうですね、すみません、と謝った。

「私、あなたが追ってきてくれることを望んでいたのかもしれません。

 最初、船で逃げようと思ってたんですよ。
 そしたら航行中は追いかけて来れないかなって。

 その間、物思いにふけれるって思ったのに。
 飛行機にしてしまった時点で、私、あなたに追いかけて来て欲しかったのかもしれません」

 だが、桔平は、
「いや、船だろうが、追うぞ、ヘリで」
と言う。