ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「いろいろ考えたんだ。
 逃げたということは、俺のことが嫌いなのだろうか。

 いやいや、そんなはずはない」

 なんですか、その自信、と思ったが……。

「身持ちの固いお前が身体を許したんだ。
 お前は俺のことを好きなはずだ。

 ちょっと混乱して逃げ出しただけだと自分に言い聞かせてきた。

 それにしても、好きなのに逃げ出すとか。

 ああ、こんなめんどくさい奴、もし、商売相手なら、どんな好条件だろうが、俺は切るっ!
とも思ったけどなっ」

 そんな文句を言いながらも、桔平は、まだ真珠を抱いている。

 間近に真珠を見つめ、
「キスしてもいいか」
と訊いてきた。

 だが、返事を待たずに、すぐに、
「いや、やっぱり、お前が『キスしてください、桔平さん』と言え。
 それが、俺の心を傷つけたお前への罰だ」
と言ってくる。