ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 有坂さん、何故、ここにっ!?
 仕事があるから、すぐには追って来られないと思ってたのにっ、と惑う真珠の許に、

「勝手なことしやがってっ。
 なにかあったらどうするつもりだっ」
と言いながら桔平は勝手にドカドカ上がってくる。

 襖を引き開け、桔平は叫んだ。

「お前の身体はもうお前ひとりのものじゃないんだぞっ」

「……誰のものなんですか」

 まごうことなき桔平の姿を見て、呆然としながら、真珠は訊き返す。

 妊娠してるとかない気がしますが、と思う真珠に桔平は、

「俺のものに決まってるだろうが、莫迦め!」
と言い放った。

 桔平は真珠を抱き締め、
「長かかったぞ、十一時間っ。
 人生で一番長いフライトだったっ」
と訴えてくる。

「俺も完全個室のファーストクラスで来たぞっ。
 お前に逃げられ、ひとり泣き濡れるためだっ」

 とても泣き濡れていたとは思えない押しの強さで桔平は、まくし立ててくる。