ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 



 真珠とようやく幸せな時間を過ごしたあと。

 うとうととした桔平は、いつの間にか、真珠の姿が消えていることに気がついた。

 ここに運ばさせていた荷物もない。

 有能な秘書、侑李に電話してみる。

 真珠がここにいることを独自の怪しい情報網を使って、すぐに突き止めてくれたのも侑李だからだ。

 だが、侑李もさすがにここで真珠が消えるとは思っていなかったらしい。

 見張っていなかったのでわからないと言う。

「なんで手に入れた途端に消えるんだっ。

 手を伸ばしたら、どんどん遠ざかるっ。
 あいつ、ほんとにゴミだなっ」

 真珠が語っていたゴミの話を知らない侑李は、
「いや~、そこまで言わなくとも~」
と苦笑いしていたが。

 そこまで言わなくとも、という言葉には、ちょっとそれに近いくらい厄介な人ですけどね、というニュアンスが含まれていた。

 お前、ほんとに真珠が好きなのか……? と思ったとき、侑李がちょっと気のない声で言ってきた。