ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 私がグイグイ行く性格なら、ちょうどいいカップルだったのかもしれないけどな、と真珠は思っていた。

 組み合わせとタイミングが悪いのかな、私たち。

 有坂さんは、結婚式の日に私を好きになったと言ってくれた。

 私はその結婚式の日に、自由にしてていいと言ってくれた、この人に深く感謝した。

 そして、離れている五年の間に、その仕事ぶりを見て感心して。

 それから、ここ数日、一緒に過ごして。

 ……こんなこと言ったら、殴られるかもしれないけど。

 なんかこの人、可愛いところがあるな、と思った。

 有坂さんのこと、嫌いじゃないけど。

 ひとつ、困ったことがあるとしたら。

 まだ恋かどうかもわからないのに、私たちは結婚している、ということだろうか――。

 笑ったせいで、ちょっと溶けた緊張の隙間を突くように、桔平は真珠の肩に触れ、キスしてきた。

「……しまったな」

「え?」

「ここが思い出のホテルになってしまうじゃないか」

 しょうがない、買い取ろう――。

 そう言って、桔平は真珠を抱きしめる。