ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 カジュアルな格好で行っても大丈夫だが。

 特別な夜には、ちゃんとしたおめかしをして過ごすのも似合う、そんなホテルに仕上がっていた。

 そうか、と言う桔平はちょっと嬉しそうだった。

「確かに古くからの馴染みのお客様は、この若造が、と心配しておられただろろうな」

 もしかして、そう言っておられたのは、お父上か、と問われたが、真珠は、
「いいえ」
と言う。

「……もしや、今のはお前の心の声か」

 バレましたか、と思ったのが顔に出たようで、

「誰が若造だっ」
と怒られる。

 いや、いい話だと思ったんですけどね、と思う真珠に桔平は言った。

「……その若造のものに無理やりされた気分はどうだ?」

「汚されたのは私の戸籍だけで、心も身体も汚されてませんよ」

「じゃあ、今すぐ、どちらも汚してやろうかっ」
と脅されたが、この人が無理やりどうかしてくるような人ではないのは知っていた。

 真珠が視線を合わせ、ちょっと笑うと、案の定、桔平は照れたように視線をそらす。