ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 自分を見つめる桔平の視線に真珠は落ち着かなくなり、目線を床に落とした。

「……それ、ちょっとわかります」

 そう真珠は言った。

「いつも私もそうです。
 取ろうとすればするほど落ちて行って届かないんです」

「お前にもそんな経験があるのか」

 ちょっと寂しそうに桔平は言った。

「はい。
 間違って燃やさないゴミを燃やすゴミ袋に入れてしまったとき、ゴミを取ろうとすればするほど、袋の中に落ちていって、とれなくなってしまうんです」

 桔平は沈黙した。

「あれはもどかしいですよね」

「……俺のもどかしさが伝わってなによりだが、その設定だと、俺にとって、お前は『間違って捨てたゴミ』になってしまうんだが」

 いや、私なりに真剣に考えてみたのですが……。

 上手く答えられなかったようだ、と思ったが。

 その程度の例えしか出てこないくらい恋愛経験がないのは伝わったようだった。

 桔平はちょっと笑って、真珠の腕をつかむと、膝の上に座らせた。

「いや、えっとっ。
 恥ずかしいのでっ」
と真珠は逃げ出そうとしたが、肩と腰をホールドされる。