ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 ショーも終わり、中峰は去った。

 侑李がご老人たちと話しているのを見ながら桔平が言ってくる。

「帰るか」

「はい。
 ……って、何処にですか?」

「ホテルに借りてる俺の部屋に決まってるだろ。
 今日はお前の部屋はとらないからな」

 そう言ったあとで、桔平は老人たちに、もう一度挨拶していた。

 ……なにか今日は逃げられそうにないな。

 いや、一応、夫婦だし。

 有坂さんのこと、嫌いじゃないし。

 逃げなきゃいけない理由はないかもなんですが。

 でもなんか……

 なんかもうちょっと……

 ちょっと考えさせて欲しいかなって、と真珠はジリジリと後退していった。