ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「先輩っ、お世話になりましたっ」

 遅れて現れた桔平に中峰も気づいたようだ。

 深く頭を下げたあとで、熱く桔平の手を握っていた。

「先輩の奥様にプロポーズするなんて非礼を犯した僕にこんなにやさしくしてくださるなんてっ。
 この御恩は必ずっ。

 ……そう簡単に吹っ切れないとは思いますが。
 今日の皆さんとの楽しかった思い出を胸に、明日からも頑張りますっ」

「うん、そうか。
 頑張れ」
と中峰の肩を叩く桔平はちょっと複雑そうだった。

 中峰が思っているほど、自分たちの関係がしっかりしたものではないからだろう。

 ここ数日、共に過ごしただけの仮の夫婦に過ぎないからだ。

 短い噴水ショーをみんなで楽しむ。

 真珠の横には桔平がいた。

 ふたりとも黙って、吹き上がるオレンジ色の水を眺めていた。

「……振ってしまってよかったのか?」
「え?」