ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました





 桔平は仕事に戻り、侑李と真珠が中峰の観光に付き合った。

 夜、ドバイ・ファウンテンを見たあと、ラウンジに行き、出発まで待つと中峰は言った。

 ドバイ・ファウンテンは世界最大の噴水ショーだ。

 世界一の高層タワー、ブルジュ・ハリファや世界最大のショッピングモール、ドバイ・モールの側にある人工の湖、ブルジュ湖で昼と夜に何度か行われるショーだ。

 誰でも無料で見られる。

 イルミネーションと音楽に彩られた噴水ショーを真珠たちは有料だが大迫力で見られる水上遊歩道から見た。

「来てよかったよ、花木!
 お前にはフラれたけど、楽しかったっ!」

 ショーがはじまると、水飛沫を浴びながら、中峰がそう叫んできた。

「そ、そうですか、よかったです……」
と真珠が言うと、

「みなさんによくしていただいて、ほんとに……
 嬉しかったです」
と中峰は涙ぐむ。

 昼間、観光の途中で七十代、八十代、九十代の人たちも時折、合流してくれた。

 今、いっしょにドバイ・ファウンテンを見ようという話になり、そのご家族も来てくれていた。

 みんなで楽しく眺めていた真珠だったが。

 空高く吹き上がるオレンジに染まった噴水の水を浴びながら、遊歩道を歩いてくる人影に気がついた。

 たくさん人がいるのにな。

 ここからだと影にしか見えないのにな。

 なんで、有坂さんだってわかっちゃうんだろう……?