ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


「……『あなたが呼ぶのなら、砂漠でも、宇宙でも』」

 いつか真珠が言ったその言葉を桔平は口の中で呟いた。

 横で眠る真珠を見たあと、果てしなく広がる砂漠に目を向ける。

「あのとき、何故だか思ったんだ。
 こいつ、ほんとに来そうだなって。

 無理やり結婚させられただけなのに。
 俺が普段は自由にしてていいと言ったことに感謝して」

 いつでも何処でも。

 砂漠でも、宇宙でも。

 例え俺がすべてを失って、一文なしになって彷徨(さまよ)っていたとしても――。

 寝返りを打った真珠の手が桔平の脚に触れた。

 日が落ち、冷たい風が吹き付けてくるが、真珠のその細い指先が触れている部分だけ温かかった。

「……ずっと離れていたのは、本当は。

 例え、どんなに時も空間も隔てていても。

 駆けつけてきてくれるお前を見たかったからかもな」

 そう言い桔平は笑ってみせた。