やってたんですけどね~、普通にOLと思いながら、真珠は桔平を見上げる。
グループのホテル部門を受け持つ彼は、タイ、フランス、バリなどに次々と個性的なリゾートホテルを建設し、高評価を得ていた。
その波に乗って、今度は富裕層の集まるドバイに新しいホテルを建築中らしい。
「気難しい取引先の社長とそこそこ仲良くなれたんだが。
お前の美しい妻を見せて欲しいと言われたんだ。
お前が表に出てこないから、俺が余程妻を大事にしていると思われたらしい」
俺も見かけないだけなのにな、と桔平は言う。
一応、妻なので、日本の家の鍵はもらっているのだが、お邪魔しても悪いかと思い、行ったことはない。
どのみち、この人も日本の自宅にいることは、ほぼないようだし。
「しかし、急で悪かったな」
と桔平は一応謝ってくれる。
「いえいえ、こんなときのための妻ですから」
他のときにはいらないと思いますが、と真珠は思う。



