ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 夕刻、
「もう一度、プールに入りませんか?」
 今、砂漠とプールが夕日に染まっていい感じですよ」
と侑李に誘われ、真珠はまたホテルのプールに入っていた。

 いい夕暮れどきだ。

 地平線に沈んでいく太陽の光が広大な砂漠からこのプールの水までまっすぐに伸びている。

 プールとその向こうに広がる絶景との境目が感じられないプールを、インフィニティプールというのだそうだが。

 水の向こうに無限に続くような砂漠があって、そこをラクダが歩いているのは、かなり不思議な感じだな、と真珠は思う。

 ふと、砂漠で見た桔平のやさしげな笑顔を思い出したとき、頭の上から声がした。

「今、帰ったぞ。
 ああ、今日もよく働いた。

 ホテルで間男と楽しんでいる妻のために、馬車馬みたいに」

 プールサイドにスーツ姿のまま駆けつけてきた桔平がいた。

「お疲れ」

 プールの中から侑李が振り返り笑う。

「ちゃんと奥さんの面倒は見といたよ」