ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました





 その頃、せっせと職場で働いていた桔平は、ふと気がついた。

「未島は何処行った?」

「未島さんなら、昼から有給とって何処か出かけていきましたよ」

 可愛らしい顔をした、未島の後輩に当たる男性秘書、降谷(ふるや)が、侑李の代わりに彼の仕事をこなしながら言う。

 なんだろう。
 すさまじく嫌な予感がするんだが……。

「俺も仕事を調整してちょっと……」

 ちょっと抜けたい、と言おうとしたが、

「この間から、社長が奥様に合わせてお出かけされるのに、未島さんが頑張って調整されたので。
 今日は夕方までギッシリ予定が詰まってます」

 侑李め、わざと自分が動ける時間帯に俺の仕事を隙間なく詰め込んだんじゃないだろうな~っ。

 真珠のことは諦めるとか言っていたが。

「まあ眺めてるだけならいいですよね~」とか、

「一緒に食事するだけならいいですよね~」とか、自分に都合のいいことを言って、ゆるっと真珠の側にいそうな男だった。

 幼なじみだからこそ、よくわかる。