ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 ゆっくり昇ってくる日を見ながら桔平は言う。

「いいホテルだろ。
 俺は、こうしてお前に贅沢させるために金持ちに産まれたのかもなって、思うんだ」

 湯水のように使ってもいいぞ、真珠、と桔平は言う。

「お前が俺の財産すべてを使い切っても、また頑張って稼ぐから」

「なに言ってるんですか」
と真珠は赤くなる。

「上に立つ人間がそんなこと言ってたら、社員の人たちが、この会社大丈夫かって不安になりますよ」

 桔平は砂漠を見つめ、
「今度は気球から見たいな、二人で」
と未来を語るが、真珠は、

 そのとき、我々はまだ夫婦なのですかね? と思っていた。

 お互いの都合だけではじまったこの偽装結婚。

 いつまで続くのだろうかな、と思っていたからだ。