「僕の大切なお姫様。
幸せになるんだよ」
そう言って、真珠の父は真珠を育てた。
だが、会社が傾き、父は知り合いからの融資を引き出すために、怪しい証文の要求を飲んで、真珠を差し出した。
仕事一筋で結婚しそうにもない有坂グループの後継ぎ、有坂桔平の嫁として。
「僕の大切なお姫様。
幸せになるんだよ」
いや、なれるか~っ、と真珠は思ったが。
メールでやりとりしたところ、桔平は、
「じいさんたちがうるさいのでとりあえず、結婚したい。
あの人たちはいちいち俺の私生活を調べたりしないので、別居で充分。
どうせ親たちもあちこち飛び回ってるし。
親族の集まりに全員顔を出すこともないから、お前が来なくてもわからない。
とりあえず、名前と戸籍だけ貸してくれ」
と言ってきた。
それで父の会社の人たちが助かるのなら、と式を挙げ。
桔平と戸籍だけ夫婦になった真珠はその後、普通に大学を卒業し、普通にOLをやっていたのだが……。



