ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


「起きろ、真珠」

 そんな桔平の声に、え? は? と真珠は起き上がった。

 窓の外、まだ真っ暗だけど……と思う真珠はキングサイズのベッドのど真ん中に寝ていた。

「あっ、すみませんでしたっ」
と真珠が謝ると、

「いや、いい……」
と渋い顔でベッドの前に立つ桔平は言う。

「最初は俺の胸元に転がってきたりして、()い奴め、とか思ってたんだが。

 寝ている俺を乗り越えて反対側に転げ落ちたり、寝たままベッドに這い上がったりしはじめたんで」

 俺はソファで寝た……と言われてしまった。

 す、すみません、すみませんっ、と真珠は平謝りに謝る。

「私、寝相が悪かったんですかねっ?
 いつも目が覚めたとき、そんなに動いてないので、悪くないんだと思ってたんですが」

「……這い上がったの覚えてないんだろ?
 転げ落ちても無意識のうちにベッドに戻ってるから気づいてないだけなんじゃないのか?」
と言ったあとで、桔平は、だが、まあいい、と言う。

「今まで誰もお前のその寝相を指摘しなかったってことは、どんな男とも夜を共にしてないってことだもんな」
と機嫌が良かった。

 いや、今日、たまたま寝相が悪かっただけなのでは……。

 それとも、飛行機の中でも、知らぬ間に壁にぶつかったりとかしていたのだろうか?