ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「ほんと、可愛いですね」

 真珠がガラス細工のラクダを見て言うと、

「いや、可愛いの俺。
 このラクダ見たとき、赤いのがお前で、青いのが俺、と思って買ったんだ。

 ……中高生みたいだろ」

 中高生のとき、そんなことしたことないけどな、と言った桔平は、鞄を取りに行く。

「俺はちょっと仕事するから、お前、先に風呂に入れ」

 あ、はい、と真珠はそこで素直に従い、バスルームに行った。

 洞窟風の浴室で、なにかこう、遺跡の中で全裸になるような気恥ずかしさがあったが。

 石鹸から漂う乳香の香りに落ち着く。

 お湯には赤い薔薇が浮いていて。

 なんていうか、こう、クレオパトラって感じだな、と桔平が聞いていたら、

「いや、ここ、ドバイな……」
と言ってきそうなことを思いながら、砂漠の中とは思えないたっぷりな湯に浸かっていた。