ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「でも、毎日、お前のことを好きになるかもな、とは思う」

「やっ、やっぱりあなたは悪い人ですっ」

 真珠はそう言い、桔平の手を外そうと腕を振った。

「そんな、クラッと来るようなことをしれっと言うなんてっ」

「クラッと来たのか」

 真珠を見下ろし、桔平は真顔でそう訊いてくる。

「じゃあ、キスくらいはしてもいいか」

「よ、」

 よくありませんっ、と言う前に、桔平が少し屈んでキスしてきた。

「うん、結婚式以来だな」

 いや、あのときはちょっと触れただけだったが、と言う。

 桔平の手が離れたので、
「おっ、おやすみなさいっ」
と真珠はその場を離れようとした。

「何処へ行く。
 この部屋のベッドはこれひとつだし。

 今日はこのホテル、部屋は他に空いてないぞ」

 心配するな、と言った桔平は、
「今日はキスしたから、もういいぞ。
 早く寝ろ」
と言う。

「この線からそっちがお前な」

 そう言いながら、夕方、砂漠で買った二頭のラクダをベッドの真ん中に縦に置いていた。

「これ、仕切りな。
 ちなみに、この背中に青いの載せてるのが俺、赤いのがお前。
 可愛いだろ」