ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 おいしく日本酒をいただいていた真珠の目の前で、桔平のスマホが着信を告げる。

「……私も出たので、有坂さんもどうぞ出てください」

 今、スマホを見るな、と言った手前、出られないでいる桔平に真珠はそう言った。

 そうか、すまない、とスマホを開けた桔平は首を傾げる。

「俺も日本からだ。
 なんでみんなこんな時間に起きてるんだろうな」

 佳苗も中峰も同じ呑み会に出ていたからなのだが。

 もちろん、桔平も真珠もそんなことは知らなかった。

「ほう。
 後輩がいよいよ、好きな女を追いかけて行くらしいぞ」

「ああ、好きな人がいきなり鳥羽に行ってしまったとかいう」

 桔平の後輩が中峰だとは知らず。

 中峰が自分を好きだともわかっていない真珠は、鳥羽って地名、最近よく聞くなあ、くらいに思っていた。