ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 デザートサファリで行っていた砂漠の方は携帯が通じなかったので、ホテルに来てから、あの夕日の沈む砂漠の写真を佳苗に送っていた。

 うっかり時差も考えずに送ってしまい、しまった、と思っていたのだが。

 佳苗は呑み会でもやっていたのか、すぐに返信が来たようだった。

『素敵ね!
 その砂、鳴くの?』

「え? 鳴く……?」

「どうした?」

「いえ、砂漠の写真を送ったら、その砂は鳴くのかと訊かれまして」

 桔平は少し考え、
「踏んでみろ」
と言う。

 はあ、と真珠は立ち上がり、その場で、ぎゅっぎゅっと砂漠の砂を踏んでみた。

 立ったまま、『鳴らないです』と送る。

「……なんだったんでしょうね」
と言いながら、真珠はスマホを置いた。

「……まあ呑め」
とグラスに酒を注がれる。

「これ、ドバイでは60万するとかいう日本酒では」

「まあ、呑め」

 二人だけの砂漠の夜か。

 アラビアンナイトの世界だな……と思う真珠のメールを佳苗は二次会から流れてみんなが雪崩れ込んでいる友だちの家で受け取っていた。