ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 っていうか、この人、こういうこと言いたいんじゃないんだろうにな~。

 駄目な人だな、やっぱり。

 ……これ以上こういうところは見せないで欲しいんだが、と思いながら、真珠は言う。

「私はお金はいりません。

 私は古い日本家屋の家賃を払うお金と、日々、谷中で惣菜を買うお金と、たまに友だちと呑みに行くお金だけあればいいんです」
とドバイに来たとき思ったことを口に出して言ってみたが、桔平は、

「だけとか言いながら多いな。
 っていうか、惣菜を買う金ってなんだ。

 毎日惣菜買ってんのか。
 作らないのか。

 自力で生活するってそういうことか?」
と妄想より多くのツッコミを入れてきた。

 桔平は指でテーブルを弾きながら言う。

「俺からショートメールが入ったとき、ほんとうは、めんどくさいこと言ってきやがったって思ったんだろう?」

「あなたからのメールを見たとき……」

 真珠はあのときのことをリアルに思い出してみた。

「……誰からかな? と思いましたね。
 見覚えのない番号だったので」

「夫の電話番号くらい登録しとけよっ」

 俺は最初に教えてもらったときに、いそいそ登録してたのにっ、とキレられる。