ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

「わかってたのに、なんで言わなかった」

「なんで、そのことを隠しているのか気になったからです。
 あなたがなにを考えているのかさっぱりわからなくて」

「お前にここにいて欲しいからだとは思わなかったのか?」

「五年も離れていた、結婚式で一回しか会っていない人間にそんなこと思うとは思えませんが」

「その一回しか会っていない結婚式でお前に惚れたからだよ。

 でも、なにも言えないまま五年が過ぎて。

 もしや、これはこのまま歳をとっていくパターンか? とようやく気がついたんだ」

 この人はあれかな……。

 仕事では有能かもしれないけど。

 そっちに全力注ぎすぎて、他のことはポンコツな人なんですかね……?

 ……これはヤバイですよ、と誰にともなく、真珠は思う。

 完璧な男には惹かれないが。

 一見、完璧そうなのに駄目なところがあるとか、ちょっとドキリとしてしまう。

 真珠が黙っていると、桔平は言葉に困りながらも言ってきた。

「このまま俺と結婚してろ。
 なんでも手に入るぞ。

 ……金で手に入れられるものなら」

「結構限定的ですね」
と真珠は言った。

 お金があるからこそ、金で手に入れられないものの方が多いと知っているのだろう。