ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 桔平はずっと遠く離れた場所にいた妻が今、一生懸命、前屈みになったり、妙なポーズをとったりしながら、自分をいい感じに撮ってくれようとしているのを見て、微笑ましくなり、笑ってしまったのだが。

 もちろん、真珠はそんなことには思い当たらなかった。

 さっきのスペイン人家族が、真珠と桔平に、写真を撮ってあげようと言ってきた。

 真珠は緊張しながら、桔平と並んで写真を撮ってもらう。

 それから、彼らの写真も撮ってあげた。

「連写してるぞ、真珠っ」
と桔平に怒られながらも。

「す、すみません、すみませんっ」

 貸せっ、と桔平がスマホを受け取り、取り直していた。

 スペイン人家族はなにか言って笑っていた。

 真珠もなんだかわからず、雰囲気に合わせて笑う。

「スマホ、大丈夫か?」
と桔平が訊いてきた。

「細かい砂にやられますよ、とさっき教えてもらったが、わかってなかったろ」

「あ、さっき言って笑ってたの、それだったんですか」

 そう真珠は言ったが、
「いや、あれは違う」
と桔平は言う。