ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 途中ガゼルの群れに出会ったりしているうちに、車が止まった。

「どうぞ、みなさん、シャッターチャンスですよ」
と言われ、砂漠で車を降りる。

 砂漠に沈んでいく夕日は圧巻で、みんな、これを誰かに見せたいと必死に写真に収めた。

 ちょうどラクダに乗った別のツアーの人たちが横切っていったので。

 並ぶラクダの影が砂漠に伸びている、いい感じの写真が撮れた。

 あとで、みんなに送ろう、と真珠も思う。

「あっ、そうだ。
 有坂さん、撮ってあげますよ。

 そこ立ってください」
と真珠は桔平を夕日の前に立たせる。

 真珠がスマホを覗いていると、砂漠に沈みゆく夕日を背にした桔平は、何故かいきなり、ふっとやさしく笑った。

 ……なんなんですか、その表情。

 格好いいではないですか。

 前の職場で写真とか売りさばいたら、すごく売れそうですよ、と、

「いや、夫の写真を売りさばくな……」
と言われそうなことを思う。