ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 一時間ほど街から走ると砂漠だった。

 何台もの車が連なって砂漠を走る。

 真珠は後ろを振り返り、驚いた。

「砂漠の向こうにすごいビルがいっぱい建ってますよ~。

 不思議な感じですね。

 火星にいきなり、都市が現れたみたいな……」

 そこから真珠たちが乗った車は結構な傾斜の砂丘を疾走しはじめた。

 ドライバーの腕がいいので、そんなに怖くはないが、なかなかのスリルがあった。

 激しく揺れたとき、桔平に捕まりそうになってしまったが踏ん張る。

「いや、なんでそこで踏ん張るの……」
と言う侑李の声が聞こえた気がしたが。

 いやだって、社食でいつも天丼を頼むおじさんよりも顔を合わせる機会の少ない夫の腕をつかむとか恥ずかしすぎる……と真珠は思っていた。

 あまりに激しい揺れに同乗していたスペイン人家族と盛り上がる。

 桔平が横で、
「全然お互い言葉通じてないだろうにな……」
と呟いていた。

 こっちは日本語、向こうはスペイン語で叫んだりしゃべったりしていたからだ。

 だが、言っていることはわからなくとも、表情や雰囲気で伝わってくる。