ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 二時過ぎ、桔平もホテルに戻ってきた。

 一緒にエントランスで迎えの車を待つ。

「なんだその、探検隊みたいな格好は」
と桔平に言われ、

「いえ、砂漠で砂まみれになってもいいようにです」
と真珠は答える。

 何処の秘境の地に行くんですか、みたいな格好の真珠とは対照的に桔平は普通にラフな感じの服装だった。

 すぐに迎えの大きな4WDがやってきた。

 他のホテルで拾ってきたらしき人たちが乗っている。

 この車で一緒に旅するのは、スペイン人のご家族らしい。

 真珠たちがぺこりと頭を下げると、微笑み返してくれた。

 ツアーガイドの人が名前を呼んで確認する。

「アリサカ キッペイさん~。
 アリサカ マジュさん~」
と呼ばれ、思わず、返事をし損ねる。

 予約してくれたのは桔平だった。

 チラとその顔を見るが、桔平はこちらを見ない。

 まあ確かに、一応、ほんとは有坂真珠なんですけどね……と思いながら、真珠は車に乗り込んだ。