ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました

 


 成田の第二ターミナルで待ち合わせをしていた真珠はちょっと困っていた。

 大勢の人が行き交う中、おのれの夫がわからない。

「妻が必要になった。
 月末までにドバイに来てくれ」
と言う夫とは、慌ててコンタクト忘れていった結婚式の日に、一度しか会っていない。

 ……私の夫はどの人ですかっ、と大きなスーツケースの横で震える真珠に、
「真珠」
とよく響くいい声が呼びかけてきた。

 振り返ると、かっちりとしたスーツのよく似合うすっきりとした顔立ちのイケメンが立っていた。

 肩幅の広い彼を見上げ、真珠は訊いた。

「有坂桔平さんですか?」

 相手は一瞬の間のあと、ああ、と言った。

「ああよかった~っ。
 すみません。
 顔がわからなくてっ」

 ほっと胸を撫で下ろした真珠に、無表情に桔平は言う。

「そうか。
 俺もお前がウエディングドレス着てないからわからなくてな」

 ぴったりな年と背格好で、人を探している風だったから、声をかけただけだと言われる。

 ここでウエディングドレス着てたらビックリですよね……。