そうさせるつもりで来たわけではなかった為、まさかそう言われるのかと、景秀も少なからず驚いていた。
申し訳なさそうな近藤、シッシッと私達を目線で追い払おうとするもう1人。
チラッと覗いてみれば、その広間には10人程の男達がいた。
「きゃぁぁぁーーー!!やめとぉくれやす…!!いたい、痛いっ」
「芹沢さん…!!」
と、私達がそんなことをしている間にも奥では芸者の髪を鷲掴む酒乱。
どうやら芹沢は壬生浪士組の中でも筆頭的な立ち位置らしいのだ。
誰も反論出来ず、まぁまぁと宥めるしか手がないらしい。
そんなことをしているならば近いうちにでも殺されるだろう、あいつは。
「生意気な女だ。ここで死ぬか、自分でその髪を切るか選ばせてやろう」
「そ、それだけは勘弁しとぉくれやす…っ!!」
「どっちだ?髪の方が嫌か?なら首を斬ってやろう」
面倒だ。
こんな理不尽な騒ぎにわざわざ加入して、こいつはどういうつもりなんだと隣の男を睨んでおいた。
が、どこかその芸者をじっと見つめている景秀。
「そうだ、沖田よ。お前が殺れ」
「え、…僕、ですか」



