夜が明けぬなら、いっそ。





『でもその先で、……俺のこと、好きって、今度は言葉で伝えて欲しい』



あぁ、伝えるよ。

伝えたい、今度こそ。

丈夫な身体になって、出来れば戦や刀のない平和な時代に生まれて。


そこでまたお前に会えたら───…



『おいで、小雪。寒いだろう?ひとりは』



両手を伸ばしてくれる。

私をいつもそうやって温めてくれたのは、お前だった。




「───…あった…かい……」




雪は温かかった。

お前と見た雪は全部、冷たくなんか無かった。


小雪という名前だって、呼ばれる度に胸にふわっと火が灯されるんだ。

十を殺す鬼だなんて言われていたらしい私だから、そんな感情を知ることなく死んでいくつもりだった。


けど、お前に出会って温かさを知ったんだ。




『俺が行くまで、待ってて。そしたら1度くらいはお前に斬られたいんだよ』



『ふっ、断る。私はお前だけは殺せない』



『じゃあ……そのときは俺を愛してくれるかい?』



『……た、容易いご用だ』




少女は駆ける。

空へ登ってゆくように、ふわりと雪に溶けてゆくように。


つうと流れる涙を幸せだと思って、こんな会話を見せてくれる夢を追いかけて。



降り続ける雪は命。


そっと舞い降りて、強く強く輝いて、ふわっと消える。


この少女もまた1つの雪であり、なによりの強く儚い命───…。